マダニが媒介するSFTSの脅威 -静岡市駿河区で感染報告あり-
2025年08月26日

静岡市でも、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という、マダニが媒介する恐ろしい病気が確認されています。
この病気は、人や動物に感染し、場合によっては命を落とすこともあるため、決して他人事ではありません。
今回は、SFTSから大切なペットとご家族を守るために、知っておいていただきたい情報をお伝えします。
SFTSとは?
SFTSは、SFTSウイルスを持つマダニに咬まれることで感染する病気です。感染すると、発熱や食欲不振、下痢などの症状が現れます。
重症化すると、血小板や白血球が減少し、命にかかわることもあります。
「うちの子は草むらには行かないから大丈夫」
「うちはずっと室内で飼っているから関係ない」と思っていませんか?
しかし、マダニは公園や庭の植え込み、さらには人や他の動物にくっついて室内に侵入することもあります。
室内飼育のペットでも、感染リスクがゼロではないことを知っておいてください。
SFTSの恐ろしさを知る
「ペットがマダニに咬まれても、人にうつることはないだろう」と思っていませんか?
それは大きな間違いです。SFTSは、マダニだけでなく、SFTSに感染した動物からも人へ感染する危険性があります。
実際に、三重県ではSFTSを発症した猫を診察していた動物病院の院長先生が、二次感染で命を落としてしまった事例が報告されています。
この事例は、動物から人への感染が現実のものであることを、私たちに突きつけました。
ペットが感染すれば、飼い主様ご自身やご家族、そして治療にあたる私たちスタッフも感染のリスクにさらされます。
ペットを守るためのマダニ予防は、飼い主様ご自身の命を守るための行動でもあるのです。
SFTSが疑われる具体的な症状について
SFTSに感染したペットは、以下のような症状を示すことがあります。・元気がなく、食欲がない
・39℃以上の発熱
・嘔吐や下痢などの消化器症状
・黄疸(目や皮膚が黄色くなる)
・白血球や血小板が減少する(血液検査で判明)
これらの症状は、他の病気と似ているため見過ごされがちですが、SFTSの場合は症状の進行が非常に速く、数日で重篤な状態になることも少なくありません。
特に猫では致死率が高いことが報告されています。
「最近、元気がない」「ご飯を食べない」など、少しでも異変を感じたら、マダニに咬まれた可能性を考慮し、すぐに当院にご相談ください。
その際、いつから、どのような症状が出ているかを詳しく教えていただけると、スムーズな対応につながります。
マダニ予防の徹底を
SFTSを予防する最も効果的な方法は、マダニに咬まれないようにすることです。当院では、以下の予防策を強く推奨しています。
定期的なマダニ予防薬の投与
毎月1回のマダニ予防薬の投与が最も効果的です。通年での予防が理想的ですが、マダニの活動が活発になる春から秋にかけては特に重要です。
散歩後のチェック
散歩から帰宅したら、ペットの体を隅々までチェックし、マダニが付着していないか確認しましょう。耳の裏、足の指の間、顔まわり、お腹など、マダニが隠れやすい場所を重点的に見てあげてください。
万が一、マダニが確認された場合には、飼い主様ご自身で除去せず、動物病院にご相談ください。
草むらへの立ち入りを避ける
藪や草の生い茂った場所は、マダニが多く潜んでいます。できるだけ立ち入らないようにしましょう。
もしSFTSが疑われる場合は?
![]() | 万が一、ペットにSFTSが疑われる症状が見られた場合、当院では細心の注意を払って対応します。 SFTSは人にも感染するリスクがあるため、感染が疑われる動物の診察には、スタッフも防護服などを着用し、厳重な感染対策を行います。 そのため、通常の診察費用とは別に、感染対策にかかる費用が大幅に加算されることをご理解ください。 大切なペットを守るために、そしてご家族の安全のためにも、日頃からマダニ予防を徹底していただくようお願いします。 ご不明な点がありましたら、お気軽に当院までご相談ください。 |